糧

20℃を越えたとても暖かい一日。
桜も満開から散り始めへと変わって行く。散った花びらは疎水を流れていき、水面を埋める花はまた別の美を表す。。。

というように今日はとても気持ちの良い一日だった。
私の仕事においても季節を感じるという事は大切で、患者さんの良い気分転換になる。だから昨日今日と見頃のピークを迎えた桜を観に外へ出る事は重要な行事であり、今日は外を歩ける方、もしくは車椅子で外へ出られる方全員を桜の元まで連れ出した。
自己満足の域を越えないかもしれないが、桜を観に外へ出たことはとても良かったようだ。

一緒に外へ行き、桜の木を見上げた患者さんたちの顔を見ていると、日本人にとって桜は特別な存在なんだなという事を感じる。
満開の桜の姿を観ると皆さん一様に顔から笑みが溢れだす。
「うわぁー、キレイやなァ〜」
「こんなに咲いているとは、思わんかったわぁ」
と、こんな感想を呟かれる。

なんてことはない、業務内におけるほんの5分程度の出来事だけど、そのいつもにはない“余分な5分”を提供することが大切なことだと考える。
仕事をするものにとっては余計な5分かもしれないが、相手(患者さん)にとってはとても有意義で貴重な5分となっているはずなんだ。
この5分を提供出来ることにより、長く退屈な入院生活において気分を一新し、その先の生活への活力とな“糧”を得てもらえると私は思う。

今日はみんな良い笑顔だった。