福祉政策

経済的に良いことは社会的にも良い結果をもたらすとはかぎらない。

(中略)

福祉を充実させれば解消する問題ではない。失業者とはただ単に、職を失ったがゆえに生活の手段を失った人々ではない。社会での自らの存在理由を失った人々なのだ。終日、樽の中に寝ていても人間の尊厳を保てた哲学者ディオゲネスのような人物は、あくまで少数派である。多くの普通の人は、自らの尊厳を、仕事をすることで維持していく。ゆえに、人間が人間らしく生きていくために必要な自分自身に対しての誇りは、福祉では絶対に回復できない。職をとりもどしてやることでしか、回復できないのである。

勝者の混迷 (上) P.48


仕事をするってことはとても大事なことなんだ。
仕事が出来ることはいいことだ。