やりすぎてはイケナイ。 排除ではなくて共生が大事

少数の勝者で多数の敗者を統治しなけらばならない場合の鉄則は、既存の統治階級の温存、につきる。既成階級を変革したくとも、それは後に延期すべきで、当面やらなければならないことの第一は、既成階級を安心させることなのだ。なぜなら、敗者であるこの人々は、勝者の進駐を、軍事力では自分たちは敗れたということがわかっているからなおのこと、強く深い恐怖を胸にいだきながら迎える。

(中略)

もしも、勝者が敗者の恐怖を増長するような政策を強行しようものなら、絶望した敗者は死に物狂いの抵抗に起つ。そうなれば少数による多数支配は夢に終わり、残るのは、敗者による勝者へのしぶとい抵抗と、それを制圧するために投入せざるをえない軍事行動の泥沼化でしかなくなる。 
ローマ世界の終焉(下) P.20-21