佐藤優 国家を斬る

佐藤優 国家を斬る

佐藤優 国家を斬る

佐藤氏の講演内容や対談を本にまとめた一冊であった。
安倍首相の問題や松岡農林大臣、現代日本の官僚組織についてなど最近の出来事に関して書かれている部分や予見しいる箇所もあり、今を考えさせれれる一冊であった。
その中で「順応の気構えから真実を見る気構えへ」と題した部分で佐藤氏が「テレビ」というメディアについて次のように話をしているので、一部抜粋して紹介したいと思う。

テレビというのは複合媒体で、音と文字と映像が同時に来ますので、人間の思考をほぼ停止させてしまうという機能があるのです。

として、ユルゲン・ハーバーマズの「晩期資本主義における正統化の諸問題」という本の中の一説を用いて以下のように解説している。

「なんでわれわれは、物事を考えなくなってしまうのだろう。それは基本的に、順応の気構えというのができてしまうからだ。」
 これはテレビと関係しているわけなのです。要するに、自分が分からないことは、だれかがきっと説得して、分かるようにしてくれるだろう。自分の頭で順番に考えて行けばいいのだけど、あまりに情報が多いし、その数も多く、いろいろな知識を入れるのに時間もかかる。そうすると、一つひとつチェックしていると疲れてしまうのです。
 そうすると「順応の気構え」というものが出てきて、テレビのワイドショーで報道される、そのままでいい。あるいはテレビのニュースで報道される、そのままでいい。もし違うのだったら、だれかが説得してくれるだろうという気構えになってしまうというわけなのです。

と解説している。確かにその通りだと私も感じる。今の世の中を見ていると、テレビをはじめとする多くのマスメディアの報道に翻弄され、何も考えないでその言質をそのまま受け入れてしまっている人が多いと思う。
これからますます「自分で考える」という行動が重要になるだろう。それに備えてしっかり怠りなく進みたい。

晩期資本主義における正統化の諸問題 (1979年) (岩波現代選書〈29〉)

晩期資本主義における正統化の諸問題 (1979年) (岩波現代選書〈29〉)


佐藤優・獄中の知的生活 - My Life Between Silicon Valley and Japan