最強のオバチャンたち

早いものでもう10月ですね。今年の残りもあと90日と少し・・・

この時期になると思い出すことがあります。
何かと言えば「赤い羽根共同募金」のこと。小学生の時は学校で配ってくれるものは「シール式」でした、それは帽子などに格好良く取り付けようとしてもなかなか上手くくっつくものではなく、アレコレ考えてつけた思い出があります。だから子供の頃は大人が付けている「針式」の赤い羽根が羨ましかったです。

社会人になってからの「赤い羽根共同募金」には強烈な思い出があります。
働き出して何年か経った時の事ですが、その日は所用があり仕事は昼までで上がって出かける途中でした。その時分は「独身一人暮らし」で職場近くのアパートに住んでいたので、自身の生活圏と職場に来られる患者さんの生活圏がほぼ同じでした。だから職場以外のところ(スーパーなど)でよく患者さんに出会ったりする機会が多かったです。

その日も部屋を出てから財布をの中をみると、中身が乏しかったので駅近くのATMにお金を下ろしにいきました。そこのATMは屋外に在ったのですが、そのATMの手前に60代〜70代ぐらいのオバチャンが3,4人で集まって話をしている姿が見えました。その時は気にも留めずさっと通り過ぎATMでお金を下ろして駅に向かおうと外へ出てしばらく歩くと、突然・・・

「あっ、○○病院の先生!」

と、先ほど通りすぎたオバチャンたちから声をかけられました。その中のオバチャンたちには私は面識がなかったのですが、オバチャンたちは明らかに私のことを知っているようでした。
ですので、まだ若かった私も

「なんですか?」

と返事をすると、オバチャンたちはある物をサッと私の目の前に出しました。

「先生、これ」
(出されたのは、ナントッ!募金箱でした。)

思わず私は「エエッ〜」と叫びそうになりました。明らかにATMから出てきたところを狙い撃ちの一本釣りです。
それもお金を下ろしたてのホヤホヤ、相手は知っています。だから「今、あんまり持ってないねん」と軽くかわして「じゃぁ、チョコットだけ」という状況でもありませんでした。
最強のオバチャンたちに狙われました。
だからその時は一人の漱石さんがその場を治めてくれたと記憶しています。

するとその最強のオバチャンたちは

「アリガトウ」
「これはオマケやで」

といって赤い羽根を2本くれました。
そして去り際に

「気ぃつけて、遊んでおいでやぁ〜」

といって解放してくれました。

それ以来、職場と生活圏はある程度重ならない方が健全であると思うようになりました。。。

今でも覚えている最強のオバチャンたちでした。