[読書]私のマルクス

私のマルクス

私のマルクス

昨年末にまとめて買い込んでいた「佐藤優」作品の最後の一冊を読み上げた。
タイトルからすると先に読んだ「国家論―日本社会をどう強化するか (NHKブックス)」と同じように硬い内容で、とっつきにくい物かと想像していたのだが、いざ読んでみるとそのようなことは無くすんなりと読める一冊であった。
カバーの帯には「この時代に私は本気で本を読み、他人と話し、考えた」とあり、読んでみるとその事が本当によく解る。
ただ直感的な感想は、この著者 佐藤優氏とは始めから解りきっているが私とは思考の次元が違い、レベルが違う、土俵が違う、基礎が違う・・・と何もかもが違っていることに改めて気づかされる。この一冊には著者の中学〜高校〜大学〜大学院へと続く時期の自叙伝的内容が記されているが、その考え方や行動は私の想像を遥かに超えていた。生きた世代は全く違うが、著者と同じような年頃だった自分がその時に何を考え、何を想い、どう行動していたかを思い出すとなんとも言えず、いかに「ガキ」であったかと思う。
そう思い自分と比較してみることで、私には上手く多くの事を語れないが著者の持っている「知の世界」の広大さ深さの一部に触れられたのかと感じるし、「人間・佐藤優」がいかにして作られたかが垣間見えた気がする。

またこの作品の半分程は、著者が大学〜大学院生として過ごした京都の同志社時代のことが詳細に記されており、同志社大学の近くに住む私には普段耳にする地名や通りの名前が出てきたりしてので馴染みやすかったという事もあるだろう。
この中に登場する、喫茶店「わびすけ」やロシア料理「キエフ」など等、機会があれば行ってみたいと思う。