複雑な話

京都は暖かい日だった。
このまま暖かい日が続くわけでもなさそうで、どうやら来週はまた寒さが戻ってくるらしい。
今は雨がジャバジャバと降っている音が聞こえる...

体調管理が難しい時期です。

さて、先月の下旬に中高からの友人に子供が誕生した。女の子だったそうだ。抱っこしてニヤケテいるアイツの顔が目に浮かぶ。
そしてさらに妻の友人にも双子が9月に誕生するそうだ。
どちらもとても喜ばしいことだ。

で、何が「複雑な話」なのかというと、先日妻と話をしたこの先の話にある。
お互いの友人の子供の話をした後、ふとした話の弾みで不妊治療の話になった。
確かキッカケは日本における年間人工妊娠中絶の話と堕胎児の数の話になった時だと思う。
日本における中絶件数は約28万件だそうだ、そして(これはとても驚いた数字なのだが)堕胎児の数はなんと100万人を越えているという話を聞いた。

100万である。

とても訳の解らない数字だった。
しかし妻に不妊治療についての話を聞いて少し理由が解ってきた。
不妊治療ではよく排卵誘発剤を使う、その時に多胎妊娠となることが多いそうだ。この「多胎妊娠」私の認識では普通なら単胎であるはずなのに誘発剤の影響で稀に“双子”等の“多胎”となるのだと思っていた。だがそうではないらしい。誘発剤を使用した場合単胎妊娠である場合の方がが少なく、多胎妊娠である方が多いということだ。それも双子でもはなくそれ以上の「五つ子」であったりすることも少なくないと聞いた。

で、この五つ子等であった場合、今の医療水準であっても正常な妊娠・出産はとてもリスクが高いそうだ、だからこういった多胎妊娠の場合は「減数手術」を行うのだ。そうまだ小さな胚の間に子宮内から無くしてしまうのだ。
減数手術 - Wikipedia

せっかく宿った命を「リスクが高いから」と言って減数してしまうのは何とも言えないのだが、加えて減数する時も単胎にはしないそうだ、万が一の場合(手術の時、他の胚に傷がつきその後正常な成長をしない等)に備えて、選択して二つ以上の胚を残すことが行われるということだった。
「万が一」を考えた上での「命の選択」…、仕方がないこととはいえこの話を聞いて何とも言えない気分になった。

そしてさらに衝撃的な話を聞いた。これはそれぞれの人の考え方があるだろうし、とても極端な話だとおもうのだが・・・・
こんな話だ、多胎妊娠が分かり減数術をする場合、父親・母親がこんな話をする場合もあるそうだ、
「どれかを選んで残すなんて事は出来ない、全部を生めないのであったら全てを選択しないです。」
そしてまたの妊娠の機会を待つそうだ。
この話を聞いた時、私は何も言えなかった。何も考えられなかった。と同時にとてつもなく変な顔をしていたと思う。

そしてしばらくした後に思った「ゲームみたいだ」と「まるで育成シミュレーションみたいだ」と思ったのだった。

一連の不妊治療にまつわる裏話を妻から聞き及び、堕胎児の数が100万を越えると言う話も理解出来たのだが、多胎妊娠そして減数手術の話は私にとってあまりにも衝撃的な話であった。
今こうやって綴っている間も思い出すだけで悲しい気分になってくる。

最近聞いた“命”に関する複雑な話であった。