ローマ人の物語〜終わりの始まり(下)〜

ローマ人の物語〈31〉終わりの始まり〈下〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〈31〉終わりの始まり〈下〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〜終わりの始まり〜文庫版、読了!

率直な感想としては、今までの「ローマ」の繁栄を物語として感心しながら読み進めてきて、ここに来て遂に「ローマ」の凋落が始まってしまったかと思うと、物悲しさを覚えた・・・。

それぞれ、どの皇帝もローマを悪くしようとして統治を行っていたのではない、そのやり方には賛否両論が付きまとうが彼らなりに自分ができるローマのための統治をやっていたのだろう。
しかし、それが結果としては悪いほうへと行ってしまう・・・。
これも時の流れだったのか

皇帝セヴェルスの項で、それまでの帝国軍団兵の待遇改善を行ったことに関して、塩野氏は次のような言葉を紹介している。

おそらく、皇帝セヴェルスは、ローマ軍の強化のみを考えて政策を実施したのにちがいない。なにしろその意図ならば、帝国の安全保障を担当する兵士たちの社会的経済的な待遇の改善にあるのだから、立派でしかもヒューマンな意図である。善意から発していたことは、まちがいなかった。だが、ユリウス・カエサルはすでに、二百五十年も昔にこうも言っている。
「結果は悪かったとしても、当初の意図ならば立派で、善意に満ちたものであった」

この改革の結果、セヴェルスの意図していた方向とは違う方向に帝国は向かってしまう・・・。
まさに、“終わりの始まり”である。