イスラム教とテロリズム

佐藤:イスラム教に「原罪」意識がないことが重要だと思います。たしかにキリスト教の中でにもテロリズムはあります。北アイルランド紛争がそうですね。しかし自分の行いや考えは正しいんだと思っていても、「原罪」意識が破滅的な地点にまで到達することを止めてくれます。それは自問して気付く場合もあれば、周囲の人間が、あなたのやっていることは「罪」ではないかと、引き戻してくれることもあるでしょう。「原罪」というドクトリン(教義)から離れて、キリスト教徒でいることは不可能ですから。


魚住:イスラム教にはテロを押しとどめるような内在的な論理がないと?


佐藤:そう思います。イスラム教は、人間が楽園から追放される前に神様と和解してますから。「自分の考えや行為は神様に由来している」と信じた時点で、「正義」に転化しやすい。ですから第三者にはそれが過ちに思えても、もはや正しいと思い込んだ人を止められないでしょう。


P.47ナショナリズムという迷宮 ラスプーチンかく語りき (朝日文庫)

補足:イスラム教の正統スンニー派⇒学派の一つハンバリー派(サウジアラビアの主流)⇒そこからの派生がワッハーブ派(厳格なハンバリー派の中でも特に厳格 ビン・ラディンワッハーブ派